787シリーズをエンジニアの視点から見てみた!

 

皆さま、こんにちわ!Engineer Travellerです。

 昨日ANAの787-10導入に関して記事を出しましたが、、、、

 

www.engineer-traveler.com

 

787シリーズを見るとこんなところが気になるなぁ・・・・ということを感じたので、それをちょっとエンジニア的に検討してみることにしてみました。

他の787-8でもこれなんだ???って思っていたので、詳細に検討してみれば納得できる理由がありそうです。

 

 

 

 

 Engineer Traveller的素朴な疑問 

 出張で成田ーデリー線によく乗っていたのですが、以前は767-300ERが就航していて、最近になって787-8や‐9が就航してエコノミークラスに乗っていると、列の真ん中あたりに窓がない部分というのが一列あるのです。

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前方のビジネスエリアでも一か所787-9ではあるのでなんなんだろ??と感じていたわけです。767-300ERでも窓なし席があるのですが、後方のすぼんでいくところなので仕方ないのですが、真ん中あたりに堂々とあるわけです。

 

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                          ※ANA 787-10(国際線)の座席マップより

 

 この窓なし座席がなぜ発生してしまったのか、エンジニア的に解析してみることにしました。

 

窓はどのような配置?

 787-8、10を並べて展示していたANAの記事や

www.aviationwire.jp

自分の787-9の写真から窓の配列と隙間の関係が何となくわかってきました。それを図解するとこんな感じになります

 

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                               ※塞がった窓もカウントしています。

 

 大きい藍色の四角が出入り口(非常口)、黄色い四角が窓を表しています。こうしてみると分かることがいろいろとあります。

 

  • 1~2番目の扉間は9窓続いた後に隙間があり、その後の窓数が機種によって異なる。
  • 真ん中の2~3番目扉間は24窓分で機種によらず一定
  •  3~4番目の扉間については、途中一か所に隙間があって、その前後の窓の数が機種によって異なる。

 

 みると分かることがいろいろとあります。これがわかると、何となくニヤッとなってしまいます。

 

787の構造部品(予想)

 これは個人的な予想もあるのですが、これらの情報から787の構造部品(胴体部分)はおおむねこんな感じに別れていると予想しています。。

 

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  前部胴体部分  コックピットと最前部窓9個分の胴体部分   

  前部胴体部分(後方)  2番目扉含む部分

  中央部分胴体  3番目扉も含む部分

  後部胴体①   3番目扉以降複数窓分隙間まで

  後部胴体②   4番目扉を含む尾部

 この時のメリットは前部胴体部分、中央部分胴体が機種によらず同じ形状になります。ここの部分は設計上の基幹部分なので、絶対変えたくない!という意思が見え隠れします。

  ※前部  ⇒ コックピットがあるので、電気配線が多くて設計変更はしたくない

   中央部分 ⇒ 翼がつくので強度関係が非常に厳しくなるところ。

          部品の強度を何度も確認したくないので、設計変更はしたくない

 今回Engineer Travellerが気になった、窓と窓の隙間というのが、これら部品の接合部分ではないかと考えています。

 そして、残る部分は機種に応じて多少変更していこうということになります。残る部分も詳しく見ると……

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 787-8、-9の間では後部胴体②を共通化し、-9、-10の間では後部胴体①を共通化して設計をしていると考えられます。すると、製作するときには同じ機械や図面を使うことが可能です。

 この機械や図面は非常に重要で、図面を書くにも延べ数十~数百時間もかけて図面を書き上げるわけです。その際も強度検討をしたり、接合部分のサイズなどチェックする項目は多数に上ります。

 機械についても、航空機のような大型部品を作る際には専用の機械を導入しますので、数億~数十億するような高価な機械ばかりです。できる限り同じ機械を用いて一つあたりのコストを下げるのが、設計者の腕の見せ所になります。

 

 これが本当なのか確認できないかと思ったところ。。。。。

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 よくよく787-9の写真を拡大してみると、うっすらと黒っぽい線が見え隠れ…やはりここが接合部分のようです。

 

787の炭素繊維の接合方法

  では、777とかでも同じような考えで設計しているはずなのに、なぜ787になるとこのような接合部分によって窓がなくなる部分が発生してしまうのでしょう?

 答えは素材にあります。

  777まででは、ジュラルミンとか軽量で高強度の素材が使われていますが、長さを長くしようと思えば、部材の長さを長めにあらかじめカットすればいいだけなので、長めに作ってもともと扉近辺など窓がない部分で接合すれば問題ありません。

  787では、より軽い素材として炭素繊維が使われるようになりました。その時には繊維を冶具に巻き付けていく方法を取りますので、

      冶具のサイズ=部品のサイズ

となるわけです。簡単に長さを変えることができないわけです。そうしたときは、できる限り同じ冶具を使って生産して、それらをつなげるという方法を取ることが最良の方法になってきます。

 ただ、炭素繊維の場合は簡単につなげるのも難しいですし、接合のために金属を使ったのでは重くなって意味がないです。

 おそらくですが、、、、、

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 こんな形ではめ込み構造を作って、接合しているのでしょう。ですが、この部分は強度的には弱くなってしまいますので、穴をあけるなんてもってのほか!!

 こんな理由で、前部と後部に窓の隙間ができてしまっているのでしょう。

 

まとめ

  ちょっとした疑問を詳細に検討していくと、設計者のコストダウンと設計労力を削減しようという意思が見え隠れして結構面白いです。

  皆さんが普段目にしているいろいろな機会にも、何気ない構造にこんな意思が隠れていますので、ぜひともチェックしてみてください。

 

 

 参考資料

川重、787-10向け新工場完成 月産14機に対応

https://www.teikokushoin.co.jp/journals/geography/pdf/200712/1-3.pdf

 

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